夫ジョニーさんは結婚前
「うちのタマしりませんか?」の絵のついた裁縫箱を持っていた。
ジョニーさんは裁縫などほとんどしなかったから
ボタンが取れたときにちょこっと使う程度。
小学生の家庭科の時間に学校で購入したものだという。
大学進学で上京する際、お義母さんが中身の補充をし、持たせてくれたらしい。
私の小学校でもデザインは違えど、裁縫箱は
「うちのタマ」柄だった。
全国的な流行だったのだろうか。
だからその裁縫箱を見たときは
「あー!!私もウチのタマしりませんか?柄だった!
懐かしいなーっ!!」とひとしきり盛り上がった。
盛り上がりはしたけれど、
クロスステッチが趣味だった私は
すでにかなりの量のお気に入りの裁縫道具を持っていて、
家庭に裁縫箱はいくつもいらない、と
ジョニーさんの裁縫箱は
中身の一部を残して手放してしまった。
でも時々ふと思い出す。
みんなお揃いのプラスチックの裁縫箱。
そして私の小学生の時の同級生、U子ちゃんのことを。
U子ちゃんは5年生のとき島根から引っ越してきた転校生で
U子ちゃんが前の学校で購入し
持ってきた裁縫箱は鞠柄だった。
家庭科の時間、一人だけ違う箱のU子ちゃんはとても目立って
一部の女の子達は「あれは違反じゃないか」とヒソヒソ噂し、仲間はずれにし、
鞠の柄なんておばあさんみたいと馬鹿にした。
私は何もしなかった。
かばってあげれば良かったのに。
反論してあげれば良かったのに。
今思い返しても胸が痛くなる苦い思い出だ。
それに比べて5年生の息子の使っている今時の裁縫箱はちょっとすごい。
こんなのや
こんなのや
シンプルなものからキャラクターものまで
30種類くらいあるなかから
自由に好きなものがえらべるのだ。
もちろん女の子が好きそうな
こんなデザインもたくさんある。
まだ家庭科の授業がない娘も
息子の裁縫箱の申し込み用紙をながめて
私ならこれがいい、あれがいいと
楽しげに選んでいた。
裁縫箱に限らず
息子たちには選択肢がたくさんある。
絵の具の道具も、
書道道具も
同様の華やかさだし
ランドセルだってカラフルだ。
だから
大人になったとき、全く同じものをもち、
同じ経験をしたということは
私たちの時代よりすくないだろう。
あるあるネタはすくないかもね。
でも息子たちは裁縫道具が違うと言って
人をいじめたりしない。
彼らにとって裁縫箱はそれぞれがそれぞれの好みで選んだもので、
違っていてあたりまえだからだ。
それがとってもいいと思った。
たとえ、変なドラゴンや稲妻がついたグッズが家中にあふれても。
とてもいいなと思った。
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