シンデレラ3をご存知だろうか。
この間立ち寄ったレストランでシンデレラのミュージックビデオが流れていたので
何気なく
「シンデレラには続編があり、
2は他愛ない平凡な話だったけれど、3は意外に面白くお気に入りなのだ」と粗筋を話していたら
「何それ、面白そうな話」とディズニー食わず嫌いのジョニーさんが意外にも食いついてきた。
そして「それブログに書きなよ」と勧めてくれたので
今日は知られざる良作、シンデレラ3について書きたいと思う。
※以下ネタバレあり
これは王子とシンデレラが結ばれた後のこと。
主人公こそシンデレラだがこれは実質姉、アナスタシアの物語。
2人のいじわるなお姉さんのうち、
赤毛でほうれい線がビシーッ!としてる方の子だ。
幸せになったシンデレラとは違い、アナスタシアはみじめな毎日を送っている。
家は没落し、もう一人の姉ドリゼラと共に
今までシンデレラにおしつけていた家事に四苦八苦。
要領が悪く何をやっても上手くこなせず、いつも母親トレメイン夫人に怒鳴られてばかりいる。
だけどそんな日々の中で、いつか自分もシンデレラのように愛されたいと夢見ているのだ。
前々作の「シンデレラ」でアナスタシアはとても意地悪だった。
だから彼女の境遇は自業自得、自らが招いた結果だ。
だけど幸せいっぱいシンデレラの現在を見た後で
アナスタシアの悲惨な毎日を見せられると
俄然かわいそうになってしまう。
誰も彼女を見ていないし誰も彼女を愛してくれない。
シンデレラは美貌だけではなく、困難に負けない強さと動物たちをも味方にする優しい心を持っていたからこそ王子様に選ばれた。
そんなことは分かってる。
でもシンデレラとアナスタシアの外見が逆だったとしてもシンデレラはひねくれずにいられたかしら。
王子様はシンデレラを選んだかしら。
全てを兼ね備えた妹に、いじわるのひとつもしたくなるってものじゃないかしら。
なんとなくアナスタシアを応援したいような気にすらなってくる。
ある日アナスタシアはシンデレラにフェアリーゴットマザーが魔法をかけている場面に遭遇する。
舞踏会の日にもシンデレラには魔法の助けがあったことをしり、
たまたま目の前に杖が飛んできたこともあって、
そのまま魔法の杖を持ち帰ってしまう。
もちろん杖がなくなったことにきづき
フェアリーゴットマザーが杖を取り返しにくるが
うん、シンデレラよりあなたに必要かも・・
揉み合っているうちに魔法が暴発し
誤ってフェアリーゴットマザーを石像に変えてしまったりもする。
慌てふためいて繰り返し謝るアナスタシア。
愚かで粗野で下品だけど、心から悪い子ではないんだよね・・。
これを見ていたトレメインはこの状況を見逃さなかった。
娘アナスタシアをのぞみ通り王子様と結婚させ、財と権力を手に入れようと目論む。
そして杖をとりあげ一振りし、
杖の魔力で時間をガラスの靴の主を探す使者が来た瞬間にまで戻す。
アナスタシアは不格好なまでに大足なので
当然そのままではシンデレラサイズのガラスの靴は履けないが
これまた夫人が魔法の力でガラスの靴をおおきくし
サイズを合わせちゃう。
「ガラスの靴がピッタリ合ったものが王子と結婚できるのよね!」
アナスタシアは無邪気に喜びお城に向かうが、
王子様には
「あの靴がピッタリ合う女性はひとりだけではないようだ」
と、シンデレラのお話のシステムの根幹に関わるような発言で拒否られてしまう。
そう、みんなそれ思ってた。
靴のサイズが同じ人なんてたくさんいるよねー。
結局夫人が魔法で王子の記憶を塗り替える。
魔法すごい。魔法万能。
一方家に一人残されたシンデレラは
使者が自分ではなくアナスタシアを連れて行ったことに混乱し、状況が飲み込めずにいたが
「とにかく私を見れば思い出してくれるはず」
と自信に満ちて、自ら王宮を目指して出発する。
私はシンデレラも今作の描かれ方の方が好きだ。
第1作のシンデレラはただ綺麗で優しいだけ。
いつもお友だちのネズミや小鳥、魔法使いのおばあさんに助けてもらうだけで
自分からしたことといえば思わせぶりに靴を落としたのみ。
たまたま王子が探しにきてくれたからよかったものの、自分から愛を求めて動くこともなく
受け身で控えめなプリンセスという印象だった。
しかし、今作のシンデレラは愛を掴むため
自分からグイグイ動いていくのがとても現代的な印象だ。
あんた、自分が美人ってちゃんと知ってるのね。
愛のためなら友達のネズミすら囮にするし
激しいアクションシーンもこなす。
要所要所でネズミや小鳥に指示を飛ばすさまは
自在に動物を使役する動物使いのようで
「何もせず歌を歌っていたら動物達が勝手に助けてくれていた」という一作目のスタンスより
強くしたたかで魅力的に思える。
その時お城では着々と結婚式の準備がすすめられていた。
魔法で記憶を塗り替えられているとはいえ、
王子様はアナスタシアに違和感を感じまくる。
結婚式の料理にはしゃいでケーキをひっくり返したり、
記憶では舞踏会でこの上なく優雅に踊ったはずなのに
実際踊ってみると不器用で鈍臭いアナスタシアは王子の足を踏みまくりでまるでダンスにならない。
でも優しい王子は落ち込むアナスタシアに
自分が悪い、気にしないでと言う。
かっこいいー!
アナスタシアはもう天にも昇る心地。
「私に優しくしてくれた」
今まで誰も彼女に優しい声をかけてくるはなかったんだろうなぁって切なくなってしまう。
この後このお粗末なダンスを見ていた王様から
アナスタシアは呼び出される。
怒られるのかと怯えるアナスタシアに王様は優しい目でこう言うの。
そして王妃との思い出の貝殻をくれるのだ。
「真実の愛は手を触れただけでわかるよ」
って。
この一件からアナスタシアは変わり始める。
「私は本当に愛されたい」
「あんないい人達を騙すなんてよくない
「魔法の力は必要ないかも」
「だって王子様は私に優しいわ」
もう王子、このままアナスタシアと結婚しちゃえよと思ってしまう。せつない。
でももちろん乗り込んできたシンデレラと動物達の活躍によって魔法はとけてしまう。
アナスタシアとの間には感じなかった何かを感じてしまう。
真実の愛は魔法の力よりも強いのだ。
残酷。
一転トレメイン親子は王子に魔法をかけ騙した罪で追われる身となるが
トレメイン夫人は諦めない。
王子が愛するのがシンデレラで変えられないなら、と
なんと魔法の力で我が娘アナスタシアをシンデレラそっくりに変えてしまうのだ。
もはやシンデレラの正しさが鬼のようにきつい言葉に感じる。
そして本物のシンデレラを無理やりかぼちゃの馬車にのせ、城外へ追い出すのだ。
この後シンデレラがインディジョーンズばりのアクションで
崖に向かってひた走る馬車から脱出して馬に飛び移ったりする緊迫したシーンを挟みつつも
クライマックスはとうとう念願の結婚式を迎えたアナスタシア。
神父に永遠の愛を誓うか、と問われ
愛する王子様に手をとられたその瞬間アナスタシアは・・・
そう言うの。
そしてボロボロになって到着した本物のシンデレラの手を取り、王子のところへ連れて行き
「こっちが本物のシンデレラよ」
って。
激怒する母親に魔法でヒキガエルにされそうになりながら
「私はありのままの私で愛されたい」
と叫ぶ姿には、もう彼女もディズニープリンセスと呼んでよいのではないかと思うくらい感動した。
このお話が製作されたのは2007年。
エルサより6年も前、「元祖ありのまま」はアナスタシアだ。
そして
こんなに切ないビビデバビデブーってあるかしら。
さらにアナスタシアは王様の元へ歩いて行き、
王と王妃の思い出の貝殻を返そうとする。
「私には頂く資格がないので」
と貝殻を差し出すアナスタシアの手に、
王様は再度貝殻を握らせ
優しい声でいうのよ。
「愛を得る資格は誰にでもある。」
すっごく素敵な話じゃない?!
私たちは皆美しく、気高いプリンセスに憧れてしまう。
そしていつか自分の元にも白馬に乗った王子様が迎えにくると夢みてしまうが
現実には選ばれるシンデレラは1人だけ。
ほとんどの子は選ばれないアナスタシアだ。
だけどそのシンデレラですら愛を求めて戦うし、
アナスタシアもシンデレラの真似をすることなんてない。
アナスタシアはアナスタシアのままでいい
だって真実の愛を得る資格は誰にだってあるのだから。
娘にはそう教えてあげたいな、と思った。
シンデレラ3、なかなか味わい深いので
是非見てほしい。おすすめ。
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