お風呂上がり。
ハーフパンツから伸びる私の太ももを不思議そうに眺めてコケシが言った。
んー、それは肉割れ。
12年前コペル妊娠の際、できてしまった妊娠線の跡。
妊娠中私の体重は47キロから約10キロ増加した。
乾燥肌で皮膚の薄い私は予防のためにせっせと保湿に励んだけれど、努力及ばず……
出産1週間前になって下腹と内ももに妊娠線が出てしまったのだ。
直後は赤いミミズ腫れのようだった妊娠線は
時間が経つにつれ、白く薄くなって目立ちにくくはなったものの
体重が元に戻っても未だ消えずに残っている。
当時はずいぶんショックだったけど
今となっては見るたびに懐かしい想いすら湧いてくる。
思い出の古傷だ。
いや、でもやっぱり全然いらないし、
消せるものなら消したいけどね。
別に隠すものじゃないし、気にしてもいないから良いんだけれど
何と説明したら分かりやすいかなと言葉を選んでいたら
コケシが指で跡をなぞりつつ、心配そうにこういった。
・・・・。
お、お、か、み?!
狼!
子どもの発想のなんとピュアで愛らしいことよ!
・・・・・。
いいね、それ。
戦ったかもしれない。
私のインディアンネームは「狼と戦った女」だったかもしれない!
急に自分の人生に勇猛で精悍な凛々しい風が吹いたような気がしてとても気に入った。
太って肉が割れた、よりもドラマチック。
気に入ったから採用することにきめた。
キリッ。
私の体に肉割れなどない。
あるのは狼の爪痕だけ。
私は狼と戦った戦士であるから
砂漠のようなお肌の乾燥も
恐ろしい更年期の体力低下も組み伏せてみせるし
荒鷲のようなむすこの反抗期にも
飢えたハイエナのようにしつこい体重増加にも負けない。
手始めに体重計でもぶっ飛ばしてこようと思う。
ちなみにインディアンネーム診断では
「セロリをかじる男」だった。
女だし。
↑応援していただけると嬉しいです
↑いつもありがとうございます
気軽にコメントやブクマにて足跡を残してくださると嬉しいです。 いつもありがとうございます。 とても励みになっています。