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↓登場人物紹介
以前、コケシを連れて受診した小児科で
先生に怒られて泣いたことがある。
まだコケシも5歳くらいだったろうか、お正月で実家に帰省していた時のことだ。
周りでとても流行っていたウイルス性の胃腸炎をもらってきてしまったらしく、
2日の夜中から勢いよく吐き始めたコケシの対応に
ヘトヘトになって始まった、そんなヘビーな新年のスタート。
コペルもコケシも赤ちゃんの頃から保育園に通っていて
こういった吐くタイプの風邪は冬になるたびにうつされたりうつしたり
もう冬の風物詩と言えるくらい何度も経験していたので
対処方法はある程度わかっていたつもりだった。
嘔吐が激しい間は絶食して胃腸を休ませる。
できることは基本的に安静と水分補給だけ。
まぁそれでもうつるけどね。
年始で小児科は閉まっているところが多い時期だったし、
帰省中なので周囲にどんな医療機関があるのかも詳しくない。
空いている医療機関も絶望的なくらい混んでいて待たされることは確実だ。
「どのみち安静にして水分補給しか治る方法はないのだ。
熱もない。
三が日を過ぎれば診療を開始する病院も増える。
とにかく今日は静かに寝かせて休ませて、ある程度嘔吐が落ち着いた明日以降に受診しよう。」
そんなふうに考えていたので動くのが遅れた。
午前中は元気そうであったのに午後になると疲れた様子で元気がなくなり、
ずっとうつらうつらと眠ったような状態になってしまい
不安になって小児科を受診しようと決めた時にはもう3時。
ネットで探して見つけたクリニックは予約優先のクリニックで
その日の予約はいっぱいだが、空いたらみてくれるということであったので2時間半待ち、
診療終了時間ギリギリの6時近くになってようやく見ていただけた。
コケシは水分を十分に取れず脱水症状を起こしていて、輸液が必要な状態だった。
先生の叱責はそんなに激しいものではなかったが、
それは私の胸を貫いた。
聞いた途端涙が出てしまった。
先生は悪くない。
おそらくは朝早くから休む時間すら取れず
ひたすらに診療を続けてらしたのだ。
それが診療終了時間ギリギリになって
点滴を必要とするほど弱った子供を連れた母親がやってくれば
何故もう少し早く来れなかったのだと文句の一つも言いたくなるだろう。
それほどにコケシの状態は悪かったし、
受診に至るまでの私の判断、私の行動が遅かったのだ。
明らかに非は私にある。
唐突な鬼滅ネタ。書きたかっただけ。
でも
昨日から何回吐瀉物で汚れた衣服や布団を洗濯しただろう。
寝不足で疲れていたし、不安で心配で、空いている病院を必死で探してここにきたのだ。
たくさんの病気の子供が泣いているさながら野戦病院のような様子の待合室で
座る椅子もなく具合の悪いコケシを抱っこして1時間は立っていたし
その間も幾度となく吐く、辛そうなコケシを見て不安でたまらなかった。
それでも具合が悪いのは我が子だけではない、
休日の小児科に来るのはみんな具合の悪い子どもたちなのだから、と
我が子こそ緊急性があるのだとは強く主張できなかった。
今思えば何も泣くほどのことではないのだが
色々いっぱいいっぱいだったのだろうと思う。
その後興奮した私を看護婦さんが慰めてくれたし、先生は「今日は入院して管理してもらいなさい」と
近くの総合病院に電話を入れ、紹介状を書き、
診療時間を大幅に過ぎても手配してくださった。
本当に感謝している。あの時は申し訳なかった。
それからというもの、
私はうちの歯科クリニックに受診するお母さんを絶対に叱らないようにしようと心に決めている。
(まあ元より強く言える性格ではないのだけれど)
「なんでこんなになるまで放っておいたの?」
「これは親の責任ですよ。」
そんな言葉でお母さんお父さんを刺したりしない。
意識を変えてもらうべく働きかけはするし
正しいケアの方法を覚えてもらうよう指導するけれど、
一方的に責めたり追い詰めたりはしない。
歯磨きのたびに泣き叫ぶ子供と格闘しているが頑張っても上手く磨けないのかもしれないし、
それどころでなく日々の育児に疲労しているのかもしれない。
親御さんの日々の苦労も、子供さんに対する愛情も
受診に至るまでもストーリーも私には見えてはいないのだ。
だから断罪をするのは私の役目ではない。
私は治療をし正しくケアが出来るよう寄り添うのみだ。
(あまりに酷くてネグレクトが疑われる…
とかはまた別の話として)
歯や口腔に対する意識が低かったり、認識不足だったりすることはあっても
子供さんのことを心配してここに連れてきたということは確かなのだから。
・・・・・という決意を忘れないようにするために今日ここにこの記事を書いた。
年末は忙しいし、色々な人が来て心がささくれるんだよね。
でもその度にあの日のことを思い出して深呼吸する。
忙しくて余裕がなくてイライラしても、寄り添う気持ちを忘れないようにしなくては。
頑張る。
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