夕飯を外に食べに行った帰り道。
「食べた分を少しでも消費したい」と
家族を巻き添えに家までお散歩。
少し遠回りして夜風に当たりながら、川辺の道をブラブラ歩いていると、
コケシが言った。
「あれ何?」
そこにあったのは公衆電話。
最近はとんと見かけなくなった電話ボックスタイプの懐かしいやつ。
そうか。今時の子は電話ボックスを知らないのか。
なんとなく衝撃をうける。
そういえば職場であるクリニックにこそ回線を引いているが
我が家には家電話すらない。
用がある人、親しい人はみんな携帯にかけてくるので使う機会がなく
今の家に越してくる際、解約をした。
だからコペルはともかく
コケシは生まれたときから電話といえば携帯電話だし(しかもスマホ)
携帯電話以外の電話機にはあまりふれる機会がない。
おばあちゃんちにあるくらいか。
だから、受話器やダイアルという言葉もあまりぴんとこないくらいだ。
しかも名前は通知されてるから
名前を言わなくってもすぐわかってくれて当たり前。
実家の母と携帯で電話するときは
スピーカーやフェイスタイムで話していたので、
たまに固定電話をつかうときも
受話器を耳に当てずに話そうとしたりもする。
とにかく電話に対する概念が
私たち親の世代とはかけ離れているのだ。
「あれは公衆電話。誰でも使っていい電話だよ。
特にああいうふうに箱の中に入っているのは、
電話ボックスっていうんだ。
昔はいっぱいあったけどね、今はみんなスマホを持っているから
あんまり見なくなってきたよね。」
電話ボックスをモチーフにしたもしもボックスを例にあげて
電話ボックスを説明するという不思議。
そして二人が
と騒ぐので
これも経験、と電話をかけてみることにした。
この先公衆電話を使わなくてはならない事態に出くわさないとも限らないしね。
私もなんとなく懐かしいような
楽しいような気分になって
家族で電話ボックスに入った。
「まず、受話器を外してここに10円を入れる。」
たったこれだけのことなのに受話器を外す前に硬貨をいれて
10円が戻ってきたと騒ぐ子どもたち。
受話器は外してからだと教え、やり直す。
「次に電話番号を押す」
でも電話番号がわからないよ!
コケシが実に現代っ子っぽいことを言う。
小さい頃は友達の家の電話番号を暗記していたなぁと懐かしく思い出す。
なんなら小学校の同じ登校班のメンバーの家の電話番号は
今でも全員分諳んじることができる。
うちの子たちは自分の家の電話番号すらおぼえていない。
というか家の電話がない。
私の携帯の番号ぐらいおぼえさせないといけないね。
そんなことを考えながら
20円しかなかったので、市内への電話の方がいいかと義母にかけてみたが留守。
仕方がないので今度は埼玉の実家の電話番号を押してかけてみた。
嬉しそうな子供たち。
公衆電話で電話をかけることがイベントになってしまう時代が来たか、と
遠い目になってしまう私。
5回ほど呼び出し音がなり、母が出た。
テンション高く、コペルがつげると
いきなりの公衆電話からの電話に母は怪訝そうな声になった。
「僕だよー!今公衆電話からかけてるんだ!」
コペルは公衆電話からかけている旨を
何度も繰り返し話す。
何か用事があるわけではない。
公衆電話からかけること自体が目的なのだから
こんな要領を得ない会話もやむを得ない。
そうこうしているうちに
あっという間に20円分の通話時間が終わりに近づき、
10円マークが点灯し、ブザーが鳴りはじめた。
コペルは慌てて私に手を差し出しながら
「お金がないって、お金」と騒いだ。
「電話が切れてしまう!」
私も慌てて財布の中の硬貨をかきまわして
10円をさがしていると
いきなり電話の向こうで
母は高らかに叫び、電話を切った。
確かに「僕!公衆電話からかけてる!」の後
お金お金と騒いだこの電話はオレオレ詐欺以外の何者でもない感じ。
違うけど。
すぐに事情を説明しようと
携帯電話からかけ直すと、
すぐ母がでた。
そして興奮した様子で、こう言った。
「今ね、オレオレ詐欺から電話あったわよ!」
「お父さんにも気をつけなさい!って話してた
とこ。
なんかこの辺、いまめちゃくちゃ流行ってるらしいのよ、オレオレ詐欺。」
母が元気そうで良かった。
これからもこの調子で色々撃退して欲しい。
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