ジョニーさんが
と気にしている。
えー、そうだろうか。
あんまり気になったことはないけどね。
ジョニーさんも若い頃は煙草も吸っていたし、なんとなく男臭いような体臭があったような気もするが、
40になろうとする今は逆に少し乾いてきたというか、
油が減ってきたというか、むしろ無臭。
匂いは減ってきたように感じる。
それとも私がジョニーさんと一緒にいることに慣れ、麻痺して
ジョニーさんの匂いを感じなくなっているのだろうか。
「いや、匂うんだって。
指で耳の後ろとか首のあたりとか擦ると、
ギンナンみたいな匂いがするんだって。」
え、いやだ。
匂うとは思ってないけど、
そんな風に嗅いでといわれたら
なんだか嗅ぎたくない。
というか、こすると匂うなら、こすらなかったらいいんじゃない?
私が匂わないよ、と言っても
ジョニーさんは気になるようで
ガックリと肩を落としていた。
ジョニーさんの首に一番近い位置に鼻があるのはジョニーさん本人だ。
その本人が匂いがするというのだから
するのだろう。
元々ジョニーさんは匂いに敏感なのだ。
洗濯物の生乾き臭のジャッジの厳しさと言ったらうるさいくらいだ。
その敏感さを持って、洗剤開発の仕事に従事すれば
世の中の生乾き臭を撲滅する一助となれるのではないかと思ってしまう。
世にある洗濯用洗剤という洗剤のほとんど全てが
生乾き臭なしを謳っているけど、
やっぱり生乾き臭ってあるもんね。
そんな鋭い嗅覚を持ちながら、
耳の後ろからギンナンの匂いがしてしまうだなんて
可哀想としか言いようがない。
それにしても不思議だ。
年をとったら耳の後ろからギンナンの香りがしてくるっていったいどんなシステムなのか。
もしかして自分では記憶を失っているけれど、
ジョニーさんの本当の正体は
銀杏の精霊なのかもしれない。
鶴の恩返しのように
助けてもらったお礼に私にギンナンを振る舞うために人間の姿になったのだ。
だから時に
体からギンナンの匂いを発することができるし、
茶碗蒸しの中のギンナンの数を
こっそり増やすこともできる。
私茶碗蒸しの中の銀杏、大好きだからなー!
そしてその正体を知られたら
ジョニーさんは元の銀杏の木に戻ってしまうのだ。
夏が終わり、
首が臭いと騒ぐ夫をみつめながら
銀杏の妄想を楽しむ。
秋ですね。
私は秋が一番好き。
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